ケーススタディ

JISTECは、大学及び独立行政法人等で研究に従事するJSPSフェロー(STAフェロー含む)へ生活支援を1988年以来行ってきております。
 この間、様々な問題に対処してきましたが、その中からいくつか注意すべき事例を取り上げました。今後のトラブルの回避と解決のための参考にしていただければと思います。

ビザ発給に関するトラブルあれこれ

3ヶ月滞在予定の外国人研究者が現地領事館で"短期滞在"ビザ(90日)を発給されました。ところが、来日後の3ヶ月を日数でカウントすると92日となります!

在留の日数というのは、入管法上、来日した日の翌日からカウントされることになっています。従ってこのケースでは、91日(来日日を入れて)までの滞在なら問題ないのですが、在留日数92日となると、1日分足りないことになります。このために入管に出向いて1日分の延長手続きをすることになりました。

許可された期間を超えた滞在は絶対にしてはいけません。たとえ一日だけ超えた場合でも、逮捕されて投獄されることがあります。

2年間滞在予定の外国人研究者が、短期ビザを発給されてしまった!

この発給ミスを、入国時に成田の入国審査官が気づいてくれました。原則"短期滞在"ビザから"研究"等のビザに変更できないという決まりがありますので、"研究"という本来取得すべきビザで入国すべきです。このケースでは、外務省に発給ミスであったのではないかと事情を話し、"短期滞在"ビザを"研究"ビザに変更してもらいました。

外国人研究者が"文化活動"ビザを発給された場合、"家族滞在"ビザを発給してもらうのが困難な場合があります!

"文化活動"というのは、収入を伴わない活動と規定されているため、何故、収入もないのに家族を同伴できるのかという論理になってしまうようです。ある外国人研究者は来日後落ち着いてから家族を呼ぶ予定でいたのですが、"文化活動"ビザでは家族を呼べないのがわかり、入国管理局で"研究"(収入を伴う活動と規定されている)ビザへの資格変更の手続きを取り、やっとの思いで呼ぶことができました。

これらのケースにもあるように注意すべきことは、自身の発給されたビザが在留目的、期間に合致しているものか、きちんと発給時に確認することです。また、家族を同伴する(後からの呼び寄せも含む)場合は、必ず外国人研究者のビザの資格で “家族滞在” ビザが発給されるか事前に確認すべきです。日本に到着してからの変更等の手続きは非常な労力となります。

国際学会に出席したいのですが(1)・・・・・・・ ビザが発給されない!

来日中、海外で開催される国際学会への出席はよくあることです。 海外に出国する場合には、入国管理局で再入国の許可を取る必要があります。また、(出国先の)大使館からはビザを発給してもらわなければなりません。

ある外国人研究者は、学会に出席するための準備(学会発表の手続き)を整え、再入国の許可を取り、後は大使館からのビザの発給を待つばかりとなっていました。・・・・・・・・・しかし・・・・・・・・・結局は、ビザが発給されなかったのです。ビザの発給は、国と国との関係で必ずしも発給されるとは限りません。

国際学会に出席する場合には、何にも優先して、渡航国へのビザが発給されるか大使館で情報を入手しましょう。

国際学会に出席したいのですが(2)・・・・・・・ パスポートが間に合わない!

海外で開催される国際学会へ出席する場合、前述しましたように再入国の許可の申請をする必要があります。普通、再入国許可のスタンプをパスポートに入国管理局(支局、出張所)で押してもらえば済むことです。しかし、この外国人研究者の場合は、事情が違っていました。学会がちょうど来日後1年目にあたっていたため、ビザの更新時期(1年ビザで入国していたため)と重なったのです。さらに、パスポートが切れる時期とも重なっていたため、パスポートの有効期限切れでビザの更新ができません。新しいパスポートが発行されるまでには日数もかかります!

この外国人研究者の場合、大使館、入国管理局に何度も何度も交渉し、やっとのことで学会に出席できる運びなったそうです。

このようなことにならないように、早い時期にパスポートの更新をするよう心がけましょう。また、ビザの更新も通常2ヵ月前(在留期間の満了する)から受け付けていますので、早めに申請しましょう。申請から発給まで2週間程度かかることも念頭に入れてください。

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民間住宅に関する注意点

アパートなどの民間住宅を借りる時

日本でアパートを借りる場合、入居に先立ち敷金を予め支払わなければなりません。敷金は、退去時に入居中に家具や部屋を破損させたり汚した所の修理・更新、清掃の費用として清算にあてられるものです。

ですから、部屋を借りる場合、入居に先立ち必ず借主(家主)の立会いの下、予め、部屋の破損ヶ所や汚れを確認しておくか、修理の必要なところや清掃して欲しいところを指摘して、修理、清掃をしてもらっておくことが大切です。あるいは、入居時からすでにある壁や床の穴など、破損箇所の写真を撮っておくのも一つの方法です。

入居期間中、部屋をきれいに使えば、敷金からそれほど差し引かれないと云うことになりますが、逆に良い状態に維持できなかった場合は、追加の修理代や清掃代が請求されることにもなります。しかし、敷金の一部でも返却されると言うことは、これまでの経験から見て、あまり期待しない方がいいでしょう。

【借家するときのポイント】

  • もし可能であれば、エアコンの付いている部屋を借りた方が良いでしょう。自分で付ける場合は、購入のためのお金がかかるだけではなく、退去する際、エアコンを取り外すための料金や、処分する時のリサイクル料金などを払わなければなりません。
  • 居住する期間の長さや、畳の部屋の費用具合にもよりますが、退去する際には、習慣としてすべての畳の表替えが必要となります。契約する時に、不動産屋さんに退去時の畳の表替えは全部でいくらかかるかを確認した方が良いでしょう。
  • オリジナルの鍵を無くすと、鍵全部の交換を要求されることがあります。鍵が1つしか渡されない時、可能なら合鍵を作ってオリジナルの鍵は大切に保管しておくことをお勧めします。ただし、退去時には、合鍵もあわせてすべての鍵を返却しましょう。

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交通事故

車を塀にぶつけた

塀に車をぶつけてしまい、花壇を壊してしまったケースです。加害者は、任意保険に加入していませんでした。塀や花壇の弁償金、および車の修理代など当然当人が全額支払わなければなりません。塀と花壇の修理代だけで20万円請求されたとのことです。

このケースは、加害者にはけがもなく弁償代のみで済みましたが、万が一の大事故に遭わないともいいきれません。必ず任意保険には加入しておきましょう。

接触事故

走行中、前方を車線変更してきた車と接触してしまいました。車を損傷しただけで、人身事故にはならなかったのですが、相手は警察を呼びました。"私が日本語がわからないのをいいことに、何やら勝手な言い分を言っている様子。私はちっとも悪くないのに!!"こういった時のストレスは、非常に大きいものです。結局、双方の保険会社同士が話し合って、過失割合を決めるということになりました。こういう事故などの時には、自分の意見を代弁して伝えてくれる人が必要です。

JISTECの生活アドバイザーも相談に乗っていますが、万が一、事故に巻き込まれた場合の連絡先を日頃より確認しておくことが大切です。

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盗難

自転車

盗難のNo.1はなんといっても自転車でしょう。日常茶飯事として起こっています。ショッピングセンター前、アパート、駅前など要注意です。盗まれたら、警察に盗難届を出してください。レンタル会社から自転車をレンタルしている場合は、自転車に盗難保険がかけられている場合がありますので、レンタル会社に確認してみましょう。また、ご自身で購入した自転車でも盗難保険がかけられているものもありますので、調べて見てください。

残念ながら、盗難にあった自転車が本人に戻ってきたということは、これまでほとんど聞いたことがありません。

アパートの部屋

これまで報告を受けた中で盗まれた主な物品は、ノートパソコン、ウォークマン、現金、パスポート、預金通帳、印鑑、物干し台、下着、カメラなどです。 盗難にあったら、まず警察に被害届を提出し、盗難証明書を発行してもらいましょう。

また、悪用を防ぐため、パスポートは大使館、入管へ、預金通帳、キャッシュカードは銀行に、カード類はカード会社へ至急連絡してください。パスポートとビザは、盗難証明書を提出することで再発行されます。

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